令和のキャリアを考えるブログ

【転職支援】元・転職エージェントが本音を語る

Pheisterです。本年もよろしくお願いします。

さて、2020年は日本でオリンピック、世界でも各国大統領。党首選が目白押しになりそうですね。
今回は、転職支援をテーマに、転職エージェントで2社経験したMasaさん(Pheisterの大学時代の友人です)と対談してみました。
主に、Masaさんのエージェント自体の経験を語っています。

少しエージェント自体にネガティブな表現も多いですが、それだけ読者の皆様に寄り添った発言ということでご容赦願います。

Pheister:本日はよろしくお願いします。

Masa:こちらこそ、よろしくお願いします。

Pheister:まず、簡単に自己紹介していただいても良いですか?

Masa:はい、現在30台中盤で、転職エージェントは2社(大手総合系、中小ブティック系)で働きました。
進路ですが、年始から学校法人の就職課のようなところで働く予定です。

Pheister:おめでとうございます。ところで、転職エージェントを辞めようと思ったきっかけって何だったのでしょうか?

Masa:転職エージェントでは本当の意味で求職者によりそう事ができないと考えました。

Masa:多くの人は、転職エージェントをキャリアの良き相談相手と考えがちです。
確かにそういう思いは少なからず皆あるのでしょうが、それが主目的ではないのです。

エージェント=応募者の代理人ではない

Masa:エージェントのゴールは、相談者を転職させることです。
不動産の「仲介」と本質は変わりません。
Phesiterさんが賃貸物件を探しに仲介さんにいけば、仲介さんから予算にあった物件を紹介されます。
例えば予算10万円で都心の3LDKに住みたい、と言っても「無理なので予算を上げるか部屋を狭くするかしてくれ」と言われるだです。
エージェントも同じ、相談者のスペックにあった求人に内定させることしかできないのです。

Masa:説明するまでもないと思いますが、転職エージェントは求職者・会社双方の代理人であるように見せかけて、手数料は会社からのみ徴求します。
しかも成功報酬型(例:内定者の年収×30%)のため、実質的には「会社のエージェント」でしかないのです。

Pheister:ふむ。なるほど。当然、ノルマの設定も会社寄りになると。

Masa:はい。もちろんですが、「求職者の満足度」も人事評価・査定には影響します。
しかし、日常追いかけるノルマは「面談件数」「面接設定件数」「最終面接数」等の「内定までの定量的な目標」となります。
流石に最近では聞きませんでしたが、昔は1転職者あたりの転職数もKPIになり得たと聞きます。
転職してしばらくたった頃に「また転職しませんか?」と声をかけて2回目、3回目の転職を促す。2毛作、3毛作と言われていました。

求職者の応募のほとんどは企業に届かない?

Pheister:今日はせっかくですので、ここでしか聞けない裏話を色々と聞きたいと思います。

Masa:求職者の方にあまり知られていない話として、「社内選考」というのがあります。
例えばPheisterさんが求人を紹介されて、応募した場合、まず社内選考にかけます。
社内選考を通って初めて応募が企業側に届きます。
人気企業になればなるほど応募が殺到します。ただ、企業側に届ける求人なんて、せいぜい3〜5人くらい。
企業側は煩雑な選考を避けるためにコストをかけてエージェントを使っているので、そんな企業に100人も応募者を持っていけるわけがないんです。

Masa:この過程で、裏スペックが考慮されます。
企業側は、表に出せない選考基準をこっそりエージェントに伝えているケースが大半です。
「性別の好み」「年齢」に加えて「転職回数上限」「直近の勤続年数」、大企業だと前職の社格や学歴も重視されます。
キャラクターに指定が入ることもあり、例えば「レスポンスの速い人」とか「どちらかと言うと大人しめ」とか色々ありますね。
こうした裏スペックに合わない段階で社内選考で落とされますが、もちろん応募者には「他者との比較で〜」等、社内選考は一切匂わせません。

Pheister:ということは、A社経由で落ちてもB社経由で受かる可能性もあるということですか?

Masa:はい。実はそうなんです。

Pheister:なるほど、これはあまり知られていない事実かもしれないですね。

応募者の心理を意のままに操る

Pheister:ただ、逆に「明らかに受かりそうにない人」にはそもそも求人を紹介しなければ社内選考の手間も減るのでは?

Masa:良いご指摘ですね(笑)あえてそうしているんですよ。
結局、相談者の本音は、そこそこ有名で給料がよくて安定している会社に行きたい、なんです。
ただ、そんな企業に入れる人は一握り。エージェントはその事実を直接伝えるとモチベーション下げてしまうので、まず夢を持たせて、まず、分からせることが大事なんですよ。
あなたに家賃15万円の物件は無理だよって。一通り、落ちた段階で、意気消沈している時に、実はこういう求人がありまして・・・と「キメに行く」求人を紹介する。

Masa:異業種や異職種に転職したいと意気込んで来られた紹介者が、なぜか最後に同業種・職種に転職している事が多いのは、こうした背景があるからなんです。

Masa:ちなみに、内定や面接通過を伝えるタイミングはうまく調整しています。
例えば本命企業の選考が終わる前に押さえの企業の内定を伝えても響かない。ただし、本命企業に落ちたタイミングで伝えたらどうでしょう?
一筋の光が差した気がしませんか?そうすると、大抵あっさりOKしてくれたりします。

Pheister:戦略的ですね。

Masa:Pheisterさんもご存知のとおり、転職はあくまでもより良い人生を歩むための「手段」です。
ただし、売上を上げるある種「やり手の」エージェントは、転職することを目的にさせるんです。
転職を迷っている・・なんて相談しようものなら、経歴が素晴らしいのでぜひ転職活動してみましょう!こんな良い企業に転職できるチャンスですよ!と煽てる。
正直、転職活動している人たちって、多かれ少なかれ現職で上手く言っていない部分があるわけなので、褒められるとその気になっちゃう。

エージェントとの面談これだけは気を付けろ!

Pheister:なるほど。Masaさんから見て、エージェントとの面談で気を付ける点はなんでしょう?

Masa:まず、面談はあくまでエージェントが求職者を品定めする場所です。
身だしなみ、言葉遣いはもちろん、自分が不利になることは言ってはいけません。
人間関係が理由で退職した、うつ病を患った・・前職の悪口を永遠と言うのもN Gです。

Pheister:え?それくらい良いような・・・だって、社外や転職先にもらさないでしょう。

Masa:はい。転職先に出す「推薦状」には当たり障りのない理由を記載します。
ただし、エージェントは社内で候補者がどう言う人か、記録を残します。
社内記録においては、面談時に聞いたことは原則として包み隠さず書かなければなりません。
「他責傾向がある」「人間関係が上手く出来ない可能性がある」等も記録に残します。
そうすると、社外に出す前の社内選考で不利になります。

Pheister:なるほど、まずは社内での選考を勝ち抜かないといけないですものね。

Masa:面談は面接と同義です。
意欲があること、業務に前向きな気持ちがあることを示し、ネガティブワードは言わないようにしましょう。

Pheister:転職において譲れない条件があれば、そこは明確に伝えたほうが良いですよね?

Masa:はい、大丈夫です。ただ、恐らくやり手のエージェントであれば、上手く丸め込まれると思います。
例えば、年収要件を出しても、いや、まずは下から入ってあげていきましょうよ、みたいな。
大手が良いと言っても、この会社は技術力は大手並みでー、みたいな。

Masa:あとは、転職エージェントは基本的に「大袈裟に」伝えるものだと思ってください。
私の知り合いのエージェントで「設定された面接には必ず行ってください。さもないと面接NGとなって今後の案件紹介が難しくなります」と言う人がいますが、実際、そんなことはないです。
単純に、企業側へのメンツが保てない、調整がめんどくさいとかそんな理由であって、会社ルールってわけではないですから。

Masa:あと、「内定がでたら、基本的に1ヶ月も待ってもらえません。今から引き継ぎの準備を始めてください」とか脅しにかかるエージェントもいますが、原則、そんなことはありません。
結局、候補者の気が変わらないうちに転職させたいエージェントの口車です。
3か月くらい待ってくれるケースもあります。

Masa:先ほどもお伝えしましたが、「面接でめちゃくちゃ高評価でしたよ!」も話半分に捉えてください。
逆に落ちた面接で「他に良い候補者がいまして〜」と言われても安心しないでください。モチベーションを落とさないために意図的に伝えてない可能性も高いです。

Pheister:鵜呑みにしてはいけないんですね。

最後に伝えたい大切なこと

Masa:最も大事な点は、「健全なメンタルの時に面談を行う」点です。
先ほども言ったとおり、現職の仕事や人間関係でうまくいっていない時に面談をすると、そうしたコンプレックスの部分をやり手のエージェントは見抜いて利用してきますから、転職の先に桃源郷があると勘違いしてしまって、転職そのものが目的化してします。
そうして選んだ会社の先に、良い人生は待っていないでしょう。

Masa:そして、とにかくまず現職でしっかりキャリアを積んでください。
家賃15万円の物件に住みたいのなら、それに見合う稼ぎのある人間になれば良いだけの話です。
エージェントにこうした駆け引きを一切させないくらい、魅力的な人材になれば、自然と良い転職につながるのではと思います。