令和のキャリアを考えるブログ

【MBA後】シンガポールでのMBA生活の総括

先だって、留学団体からMBA生活の総括についてインタビューを受けましたので、要旨を以下に記載しています。

プロフィール

名前 : Pheister
入学時年齢 :33 歳
MBA :シンガポール経営大学(SMU)
職歴 :日系金融機関(6年)→日系上場事業会社・財務部(4年)→MBA→日系上場事業会社(経営企画部)
留学方法 :私費(休職)、単身
海外経験 :高校時代、米国に1年間交換留学
IELTS: Total 7.5(L8.5/ R9.0/ S7.0/ W6.5)
GMAT :Total 710 (Q50/ V35/ AWA5.5)

なぜ欧米ではなくアジア、その地域、出身校を選んだのか

アジアMBAは、総じて安価な授業料に比して教育の質が高く、コスパが良く感じられました。
その中でも、シンガポールフィンテックブロックチェーン等、自ら興味があった分野で最先端を行く国であることに加え、街中や職場で英語が通じやすく、(香港や中国と比べて)生活の上で語学の壁を感じにくい点、国際性豊かで様々な国の文化に触れることができる点も魅力的でした。

私が進学したシンガポール経営大学は、最もシンガポールのど真ん中にキャンパスがあり、インターンシップをしながらの通学や、授業後のネットワーキングがしやすい環境にあります。
また、1年弱という短い時間で、約20講義の単位取得、フルタイムで最大20週間のインターンシップや短期での交換留学に取り組める濃密なカリキュラムで、仕事から離れる期間を最小化したい自分に合っているように感じました。

また、リーダーシップやマネジメント等のソフトスキル重視のカリキュラムである点、日本人のIntakeが少なく、否が応でも異文化に適応する必要がある点等にも興味を持ちました。

合格/入学までの苦労話

30代中堅社員として忙しく働く中での受験でしたので、時間の確保にも苦労しました。仕事は残業して平日内に片付け、休日の2日間を勉強に充てるサイクルで、可能な限り効率を追求しました。

スコアメイクについて、IELTSは留学経験も味方して運よく1回目でスコアが出ましたが、GMATはそもそもインターネットで様々な攻略法や神話?が書かれており、どれを信じて取り組むかについては悩みました。

結果的にOfficial Guide中心で取り組むことを決め、まず回答から先に読んで、なぜその答えになるのか解説を熟読すると言う「割り切った」手法で、Official Guideを2周してそれなりのスコアが出たので一安心。他の教材は、時間もなく手を出すことができませんでした。

エッセイは、カウンセラーと一緒に、とにかく長期のゴールから考えて、なぜ長期ゴールの実現にMBAが必要か?という観点で説得性・一貫性を持たせるようにしました。

印象に残る、役に立つ授業

組織行動論

ハーバード大学でも教鞭を取った教授がケース・メソッドで学生の意見を集約しながら講義を進めます。

オーケストラの指揮者のような授業回しは臨場感抜群。

「米国のトップMBAを卒業した優秀な学生が、卒業後のキャリアでマネジメントに失敗し、6か月で会社をクビになる」という赤裸々な実話を扱った際には、解雇の妥当性でクラス内の意見が対立し、「彼の家族の生活を守るべき」と言うアジア人的な思考に対して「結果が出なかったのだから当然」とはっきり言う西洋人もいて、価値観の違いに触れることができました。

デザイン思考

チームを組み、モチベーションに合わせてゼロベースからビジネスモデルの原型を作ったうえで、最終日にベンチャーキャピタリストへプレゼンするという講義。優勝チームには出資の話が持ち上がります。

私のチームは、プレゼンの1週間前までに良いアイデアが出ず、チーム崩壊の危機に晒されましたが、メンバーの家族に糖尿病患者が多かったことから、「糖尿病患者向け食事宅配サービス」をプレゼン。
優勝は逃しましたが、ベンチャーキャピタリストから「外食ビジネスは一度衛生面で失敗すると一気に信用を失うから、衛生面をしっかりプレゼンしたほうがいい」等の実践的なフィードバックを得ることができ、実りの多い授業となりました。

クラスメートとの思い出

クラスメートとは公私ともに概ね仲良く過ごすことができましたが、目的意識や何に時間を割くか、と言う考え方も全く異なるため、グループワーク等では各々のコミットメントの度合いに差が生じ、貢献度の低いメンバーが浮いてしまうという場面もありました。

また、お互いを深く知るにつけ、例えば同じインド系や中国系と言っても、出身地や宗教等によって各々の考え方が異なり、対立感情を持っていたり等、文化的背景を乗り越えることの難しさを学ぶ良い機会となりました。

自信を得る事ができたエピソード

2学期の授業で、クラスで発言も少なく、チームミーティングにも来ない、評判が良いとは言えない学生と一緒にチームを組むことになりました。

チーム内でも「あいつ抜きで話を進めよう」という空気が流れたのですが、ここは日本人的マネジメントの出番だろうと思い、彼に寄り添いつつ得意なことを聞き出し、上手く仕事を振りながらグループワークを進めたところ、徐々にチームへのコミットも増し、最終日に非常に良いプレゼンテーションを行ってくれました。

クラス内の彼を見る目も変わり、他のチームメンバーからも驚かれ、チームに大きく貢献できたと感じられた瞬間でした。

一番印象に残っている一言

前述の組織行動論のクラスで、「会社をクビになったMBA学生」を題材とした際、授業の最後に教授が言った、「自分がリーダーシップを発揮する際、このMBA学生のようになっていないか?を自問することにある」という言葉を強く覚えています。

この学生は挫折経験がなく優秀であるが故に、上司の言うことに従順に従い、部下全員に対していい人であろうとして、何の意思決定もできず潰れていくのですが、ともすれば誰にでも起こりうる話だと思いますので、気を引き締めようと感じました。

ここが我が校の自慢!

キャンパスの立地の良さに尽きます。

シンガポールの中心にキャンパスがあり、忙しい授業の合間を縫って、ビジネス街で毎週のように開催されているスタートアップのピッチコンテスト、ビジネス・ミートアップイベント、日本人主催の交流会等に出席できます。

自分のネットワークを広げたいと考えている人にとってはおすすめできる環境です。

インターンシップ経験

シンガポール経営大学ではインターンシップが必修科目の1つとなっており、単位認定されるため、学生ビザであっても労働制約を受けることなくフルタイムで数ヶ月間働くことができます。

後の転職活動で業種や職種を変えたい人は、インターンシップでキャリアのブリッジとなる経験を積むことが大きなアドバンテージとなりました。

私はスタートアップで、これまで経験がなかったマーケティングに挑戦しました。

前提知識や英語でのビジネス経験もない中、北米の企業の新商品P Rのため日本のYouTuberと交渉する等、四苦八苦した部分もありましたが、今振り返ると本当に良い経験をしたと感じています。

就職活動の進め方

私は休職中だった会社に復職したため、就職活動は行っておりませんので、他の学生の一般的な就職活動について記載します。

まず、シンガポールで就職を目指すか、日本に帰国するかが大きな分岐点になります。

現地就職の場合は、キャリアオフィスの支援を受けつつ、インターンシップから正規採用を目指したり、定期的に開催されるキャンパスリクルーティングで名刺交換→レジュメ提出から面接のオファーを待ったり、人脈を広げて職業紹介の機会を狙う等の流れとなります。

日本への帰国が前提の場合は、基本的に自身で転職活動を行います。他校に比べて開始時期が1月と変則的なので、通常5〜6月に日本で開催される壮行会には参加できないものの、終了時期が11月なのでボストンキャリアフォーラム等に参加することは可能です。

その他、日本でMBA採用に強い転職エージェントとスカイプ等で面談を繰り返す形になります。

MBAに行ったメリット

MBA終了後はファイナンスを離れ、経営企画部で事業戦略やM&A・アライアンスの検討等を行っています。

また、海外投資家(I R)の窓口も務めています。

財務という背番号を外し、社内でキャリアチェンジができたのはM B Aに起因するところが大きいと思います。

未来のアジアMBA 生への応援メッセージ

金銭的・時間的に大きな投資である海外MBAですが、「英語でビジネスする力を身に付けたい」「職種・業種を大きく変えたい」と考える人にとってはおすすめです。

特にアジアのMBAは低コストで質の高い教育を受けられる学校が多く、R O I(投資リターン)が最も高いと思います。

SMUは日本において知名度が高いとは言えず、日本人卒業生の数もあまり多くないものの、私のように社内キャリアチェンジを実現したり、G A F Aや外資金融、戦略コンサル、ヘルスケア等多方面への転職を果たし、活躍したりしている卒業生が多数います。

人気も年々上昇中ですので、ぜひ留学検討校の1つに加えてみてください。