令和のキャリアを考えるブログ

【MBA後】ボストンキャリアフォーラムの求人に見るMBA後のキャリア

今回は、海外MBA後の進路の話です。
ちょうどボストンキャリアフォーラム開催の時期ですので、ボスキャリのMBA向け求人を紹介しながら考えてみたいと思います。

はじめに

海外MBAが有利に働く求人は、以下の2種類に分けられます。
(1) MUST求人
MBAホルダー限定」が求人に明記されている場合がこれにあたります。

一般的な転職サイトに掲載されることは稀で、キャリアフォーラム系の求人か、学校への直接求人が主です。

(2) Nice to Have求人
限定ではないものの、求人票の応募資格に「MBA preferred」「MBA is a plus」となっている場合が該当します。

Non-MBAとの競争にはなりますが、「有利に働くよ」と予め明記されている場合です。

今回は、MUST求人に絞ってみてみたいと思います。

ケース1:外資系コンサルA社

職種 戦略コンサルタント
要件 海外大学のMBAコース・修士課程・博士課程の最終学年に在学中で、入学前に3年程度以上の実務経験をお持ちの方
職務内容 課題解決に向けた分析のフレームワークを考え、クライアントチームとのディスカッションを リードしながら仮説構築、検証、戦略構築、実行プランの策定といった一連のコンサルティングプロセスを遂行していきます。全社で共有するコンサルティング手法や事例などIntellectual Capital(知的資産)の創造、プロジェクトの質の向上、リクルーティング活動等を通して、ファー ムの発展に貢献することも期待されています。

戦略コンサルの典型的なMBA採用枠です。厳密には海外大学のMaster以上ですが、職務要件(=JD)を見るとMBAに優位性がありそうです。
最低職務経験あり(3年程度)ですが内容まで限定されていないので、職種・業種問わないポテンシャル重視でしょう。
ノンマネージャー採用とはいえ手を動かすだけではなさそうなので、基本的なOSスキルやフレームワークへの理解があることは前提になりそうです。
わざわざ海外大学と謳っているので、英語力もMUSTですね。

ケース2:外資系コンサルB社

職種 戦略コンサルタント
要件 MBA在学中で、かつ、日本語および英語がビジネスレベル以上の方
職務内容 MBA卒の方にはシニアアソシエイトとして御入社頂きます。
シニアアソシエイトの役割は、プロジェクトの目的とゴールを理解し、チームの中心的な存在としてプロジェクトを推進することです。
ビジネス全体を俯瞰した上で、何がクライアントにとって戦略上重要なイシューかを特定し、構造化し、そして解決策とその実行プランを提示する。
これら一連のプロセスの中で戦略コンサルタントとしてのスキルを最大限に活用し、アウトプットの質を高めることが求められます。
また、クライアントにとって実現性・戦略性の高い施策を策定するために、クライアントチームと密接な関係を構築し、ディスカッションをリードしながら仮説構築・検証を進めること等が期待されます。

こちらも同様に、マネージャー一歩手前からのスタートです。ディスカッションのリードも含めプロジェクトマネジメントスキルも要求されそうです。
職務経験の定義もないためポテンシャル採用ですが、英語力に加えてプロジェクトマネジメントの経験があるほうがフィットしやすそうです。

ケース3:外資系企業(日本法人)C社

職種 MBA leadership Development Program - Sr. Financial Analyst or Pathways Operations Management (Ops)
要件 3年以上の職務経験があり、現在MBA履修中の方
職務内容 Sr. Financial Analyst - Participants join our company as Senior Financial Analysts (SFAs) and are given significant responsibility from the start to drive both business and financial decisions. SFAs are expected to evaluate and quantify new business ideas, execute controllership and reporting for their businesses, and perform data-intensive analyses, all to drive meaningful change and improvement in the way we serve our customers

MBA卒限定求人ながら、職種はFinancial AnalystとOMと厳密に定義されています。
求人はFinancial Analystのものしか載せていませんが、内容を見る限りでは同職種経験者ではなくても銀行や事業会社の経営企画・新規事業部署出身者なら戦えなくはない内容です。
ちなみに、月収については70万円~と書かれています。事業会社のスタート給としてはかなり高い印象です。

ケース4:外資系企業(日本法人)D社

職種 MBA卒Strategic Operation Manager
要件 Minimum of MBA or Master’s degree in related field
職務内容 In practice this requires a rare mix of analytical and interpersonal skills; a deep understanding of how to use our data to quickly understand trends in supply and demand, combined with an ability to understanding of how to take advantage of those insights. This is an intense, business-side startup role which has a clear and direct, impact on the growth of our business.

職種はOMとなっていますが生産管理ではなく戦略寄りですね。
事業会社の経営企画やFP&Aなど、業界問わずデータを経営に生かしてきた経験を持つ人であれば挑戦できそうです。

ケース5:日系大手IT企業E社

職種 MBA Full time - 様々な戦略的なポジションでの活躍を期待
要件 【求める経験】
・海外事業の発展(マーケティング・リサーチ、アライアンスの交渉等)
デューデリジェンス、評価・同盟、M&AおよびPMIの遂行
・海外活動の強化
・新規サービスの提案および立ち上げ
・監督ビジネスの問題の特定とその解決策の模索
・事業の売り上げを含む進行状況の管理(KPI Management)
・プロセスの改善による生産性の向上
【応募条件】
・一流ビジネススクールMBA学位
・急速でチャレンジングな環境における最低6年間の実務経験
・国際的なマネジメント能力
・プロジェクトマネジメント能力
・海外での企業発展の経験
・連結決算の経験
・英語での高い筆記能力およびコミュニケーション能力
・ビジネスレベルのPCスキル:MS Excel、Word、Power Point
【求められるもの】
・企業家精神
・野心、成長への強いモチベーション
・結果へのこだわり
ダイバーシティに富んだチームや投資者との円滑な対人関係を形成できる、高いコミュニケーション能力

ゼネラリスト・オープンポジションでの採用、日本企業では数少ないMBA限定求人となります。
起業家志向者の採用を前面に出しています。
MBAに加えて成長企業での6年の実務経験はなかなかハードル高そうですが、30代であえて日系企業で働きたい!と考える人にはお勧めです。

ケース6:グローバル投資会社F社

職種 Japanese Equity Portfolio Investment
職務内容 we expect MBA interns and full-time candidates to be able to contribute from Day 1. Our strategy requires rigorous financial analysis skills, creativity to find and implement value creation ideas for our portfolio companies, and a positive attitude with the potential to build positive relationships with Taiyo team members and portfolio company management.  
要件 The successful candidate will:
• Possess strong analytical and financial skills (modeling, valuation)
• Conduct deep-dive industry analysis
• Be able to form strong non-consensus viewpoints and support with deep quantitative and qualitative research/analysis
• Create and deliver persuasive Investment Committee presentations
• Utilize and build new proprietary tools to optimize the investment and engagement process
• Build and foster team relationships both internally and with portfolio companies
• Help Engagement team to identify and solve issues with portfolio companies
• Be creative in providing analysis to help management value shareholder perspectives
• Understand inner workings of how Japanese companies operate and make decisions
• Possess strong communication and interpersonal skills
• Take initiative in putting together strategic road maps for assigned companies and get others involved to continually improve the process
• Offer high level insights to team discussions

金融系でMBA限定求人を見つけるのは難しかったのですが、1つ発見しました。米国勤務確約の求人です。
経験年数・業界等の縛りはないですが、Day1からの活躍が求められるので、金融・その中でも同職種経験者でないと採用は難しいと思います。

終わりに

戦略コンサルの人気は依然として高い

本記事に列挙した求人や私の肌感覚から見ても、MBAでキャリアチェンジを目指す場合、長期ゴール達成の前に戦略コンサルを選ぶケースは多いです。
人手不足で採用を強化していることに加え、職種不問で地頭とグローバル経験を武器に採用してくれるためです。
MBA限定枠も豊富にあり、一般枠の中途採用と比べて競争が限定的なのも大きいかもしれません。

外資系グローバル企業(GAFA・ヘルスケア等)が追随

職種を大きく変えず、日系→外資転職で給料とステータスをあげたい場合は、GAFAを筆頭とするグローバル企業で職種を限定したMBA採用枠を目指す傾向にあります。
今回は取り上げませんでしたが、ヘルスケアもMBAに限定した採用枠を用意する会社があります。

外資系金融は狭き門か?

逆に、外資金融については、そもそも金融でキャリアを築いた人しか受け付けず、キャリアチェンジしにくいためか、なかなかMBA限定枠が見つかりません。
もちろん、転職を果たす人はいますが、他のファイナンス修士との競合になっている印象です。