令和のキャリアを考えるブログ

【MBA受験】MBAの投資リターン(ROIC)は一体いくらなのか?

海外MBA関連で寄せられる質問で最も多いのが、
「結局、投資リターンはどうなのか?」という話です。

今日は、一般論と私の経験をベースに、「かかった費用」だけではなく「投資リターン」について、
具体的な数字を出しながら書いてみたいと思います。

Pre-MBA(年収550万円)

日系のごく平凡な消費財メーカー(上場会社)でマーケティングをやっている30歳がMBAを目指すとします。

だいたいこの職種ですと、給与が500万円〜600万円くらいと思いますので、550万円(手取り×75%で412万円→月35万円)とします。

また、留学先はシンガポールにある私の母校とします。

MBA準備

まず、MBA準備です。
TOEFL・IELTS・GMATのスコアメイク+エッセイのために大手の塾に通うとして50万円、
IELTSとGMATの受験料が各3万円として、3回ずつ受験したとして20万円、
キャンパスビジットで15万円を払って、計85万円かかったものとします。

MBA留学中

見事合格を勝ち取りました。ここで、学費+生活費について考えます。

学費は年々上がっていますが、現在でも66,000シンガポールドル程度、
追加でエッセイ等を書いて、10%学費免除の奨学金を得たとして59,400SGD、為替レート82円でみても480万円です。

私の大学院は、日本政策金融公庫の国の教育ローンが利用できます。

低利で最大450万円借りられますから、親に借りてもらうとします。

保証料で30万円引かれてしまうので、420万円を学費に充当し、学費不足分60万円を貯金から払います。

生活費については、独身と仮定して、寮がないため公営住宅の部屋を間借りします。
相対的に東京よりシンガポールの方が家賃は高いものの、学校から少し離れたところであれば月8万円くらいで探せます。
食費+雑費+交際費で多少余裕を見て、1日3,000円→月9万円、家賃と併せて計17万円×12か月(1年制なので)=約200万円です。
これも貯金から払う計算で考えます。

MBAでの支出総括

結局、準備と留学中合わせて、自己資金(エクイティ)は345万円(=85万円+60万円+200万円)
学費に充当したローン(デット)=420万円で計765万円の投資となりました。
デット6割、エクイティ4割で経営学修士と言う将来キャッシュフローを生むアセットに投資するわけです。
(Pheisterはファイナンス男子なので、職業病でこう言う表現を使います(笑))

Post-MBA(年収800万円)

MBA後ですが、MBAで英語でデータ分析やコミュニケーションできる実力を身につけ、以下のような求人に応募して採用されたとします。
(実際に出ている求人です)

職位 外資系家電ブランドのプロダクトマネジャー
職務 ・セールス予算管理
・営業利益、ATL/BTL、プラン作成、ディストリビューションにおける戦略立案と実行業務
・市場・競合動向の分析とレポーティング業務
・新製品の発売、広告キャンペーンの実行、様々なセールスプロモーション活動業務
・日本市場のニーズをサーチし本国と連携しながら戦略立案業務
要件(MUST) 消費財業界におけるプロダクト、ブランドマネジメント経験が5年以上ある方
・データ収集、分析経験がある方
・ビジネスレベルの英語力がある方(会話・読み・書き)
要件(Nice to have) FMCG業界(家電、耐久消費財分野)にてプロダクトマネージメント経験がある方尚可
外資FMCG業界での就業経験がある方尚可
MBAの方尚可
年収 700万円〜900万円

よく見ると、他のNice to have条件と同様に、MBA尚可と定義されています。
仮に「尚可」という条件の強さが並列だとすると、多少、FMCGの経験が劣ろうと、外資での経験がなかろうと、MBAだとチャンスがあるということです。

ちなみに、MBAというと戦略コンサル、外資投資銀行とかばかり思い浮かべられるかと思いますが、
実際、特に外資系求人であっても、Nice to have要件としてMBA Preferrred, MBA Plusという求人は多いものです。

また、これは私の肌感覚ですが、同じ仕事を英語を交えてできる、というだけで、年収は200万円UPくらいの求人は見つかります。
日系で培った経験+英語力・国際感覚で外資系・同職種で年収UP・WLBも改善した事例を私はいくつも目にしてきました。

投資リターン(ROIC)の計算

前述の求人ですと年収幅は700万円〜900万円ですから、間を取って800万円としても、手取り600万円で月50万円、
留学前と比べてキャッシュフロー15万円のプラスです。

デットの返済を考慮しますが、日本政策金融公庫は最長15年の返済期限が与えられます。
ホームページ上で試算すると、金利1.66%込みで28,400円と出ました。3万円を差し引いても、キャッシュフロー12万円のプラスです。

デッドを返済してデレバレッジしながら、エクイティ(=自己資金の支出)の345万円をもう一回貯め直すと、約3年で元の金額が貯まります。
留学の1年と合わせて、34歳以降は完全なキャッシュフロープラス。月15万円以上貯金の差ができることになります。

逆の言い方をすれば、仮にMBAに行かなくて元の会社に在籍しても、
4年間の間で年収を250万円上げて、かつ英語でビジネスする力を身につけられるのであれば、
MBAに行かなくてもいい、という判断になります。

しかし、日本にいて、働きながら英語力を身につけ、1年間で60万円ずつ年収を上げる、というのはなかなか現実的ではない気がします。

終わりに

以上が、日系で平凡なサラリーマンがMBAでキャリアアップを目指した事例です。

少し宣伝っぽくなり恐縮ですが、MBAの中でもアジアMBAは期間も短く、初期投資も少なくて済む反面、レベルの高い教育を受けられます。

英語ネイティブでなくても十分戦っていけますし、
いわゆる大企業やブランド力の高い企業ではない人、30歳を超えてキャリアアップを目指す人も多く留学していますので、
ぜひ留学を検討してもらえればと思います。